2017年03月26日(日)

淀川ランニング時々散歩

皆様いかがお過ごしですか?
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今、淀川は土筆が芽吹き、水仙が春らしい色合いを添えています。
心なしか、いつも出会うランニングの人たちや犬の散歩の人たちも足取りが軽いようです。私もついつい、走るのを止め、道端の野草を見入っています。
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  会長の登喜先生からの投稿でした!

2017年03月18日(土)

3月11日:脳Know実践セミナー 『脳卒中患者の効果的なポジショニングの技』

晴れの良い天気に春を感じる季節になってまいりました。
皆さまお変わりございませんか?

 

脳Know実践セミナー「脳卒中患者の効果的なポジショニングの技」を開催しました。
とにかく、楽しかったです。知識を得ると同時に、看護の技を再発見できました!

 

講師は、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 山添幸氏
摂食・嚥下障害看護認定看護師/NST専門療法士 永野彩乃氏
まず、講師の山添氏から、お話が始まりました。

 

 基本的なポジショニングの定義や目的の確認。ポジショニングの原則としての「接触面をいかに広く持たせるか」「患者の安楽・安全」の意味をおさらいし、中枢性麻痺患者のポジショニングについて考えました。
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脳卒中患者の多くが自らの意志表示が乏しいことから、患者が受ける負担や安楽の意味を理解し、看護師の行ったポジショニングに責任を持たなければならない、というお話は心に留まりました。
どんなときにも看護の本質に立ち戻って、自分の看護実践を振り返ることの大切さを改めて感じました。

 

<麻痺のある患者のポジショニングのポイント>
・麻痺側は体重が沈み込み体幹のねじれを生じる⇒全身のバランスが取れない
・麻痺側は筋力の低下のために体位の保持ができない⇒隙間への身体の沈み込み
・身体の適度な活動を妨げない⇒ピローの挿入位置や深さ
・不快感や疼痛は筋緊張を招く⇒「痛い!怖い!」という患者は身体失認が起こっていることを考えること。安楽への注意:シーツや寝衣のしわ、下肢の重なり、枕の高さや位置
・頸部のポジショニング⇒食べることを保証する。看護師にしかできない。

 

<体験編>
1、リクライニングポイントの理解=ギャッチアップの際の患者の位置(大転子部)合わせは基本中の基本!
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2、ギャッチアップで身体がずれる=先にを上げると違う!
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それぞれのベッドから「あー、ズレていく!」「10センチぐらいズレてる感じがする!」「こんなにシーツに引っ張られえている!」「足が挙がっているとズレている感じが少ない「「臀部が安定している」などなど。自分の体で学ぶことは大事ですね。
3、背抜き&足抜き=圧抜きは必須!

 

※ポジショニング手袋は優れもの!
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ケアを受ける患者にとっては心地よく、看護師にとっては体にやさしく、という救世主です。
「背抜きは気持ちいい!」「リラクゼーション感覚」「これは、絶対やるべき!」「これはスムーズに滑る」といった声が聞かれました。

 

4、すべての動きには頭部が主導=向く方向に頭をセット:“目”が先に向き意識できる
「頭がそのままだと体の回転が大きく感じるが、頭を先に向く方向に向けておくと身体の回転感覚が小さくて安定している」「回る感じがしないので怖くないね」というように、知覚と身体感覚は連動しているということが分かりました。
5、点ではなく面で支える=安楽枕の使い方ひとつで圧分散
患者体験をして実感できたことが多かったですね。改めて、患者の立場に立つことの大切さを再確認しました。

 

もう一つの課題『安全においしく食べるためのポジショニング』

 

デモンストレーションを交えての講義でした。

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講義の焦点は以下の3つでした。

 

 食べるための準備(気持ちよく、食事に集中でき、楽しんで食べる)
ポイント:排泄は?手を洗った?テーブルの上は清潔?食事を見ることはできる?
まわりの環境は?
以上のことは、食事の援助(看護)をする看護師は基本的に“あたりまえの看護”ですね。

 

 ベッド上での食事時のポジショニング

ポイント:

腰の位置とベッドリクライニングポイントを合わせる

頭頸部経度前屈位(胸骨と下顎の間は4横指程度)

足底を安定させる
両上肢は肘の高さで安定させる

 

 車いす(座位)での食事時のポジショニング
ポイント:体幹が傾かない。背部と腰部の安定⇒座面の奥まで座り骨盤を起こす。
頸部の経度前屈位
膝関節は90度・足底が接地、高い場合は足台。
上肢の安定・テーブルは肘の高さ・肩の高さが水平

 

※足底が安定していると咳嗽や咀嚼や嚥下がしやすいというエビデンスがあることを紹介してくれました。しっかりと座るための看護が食べることにはとても重要であることを再認識しました。
患者の食べる姿勢(ポジショニング)を一つ一つ工夫し、手を抜くことなくやっていくことで、患者が自立的に食べることができる状況を創り出すことになると、永野氏は伝えてくれました。

 

※今回のセミナーに用意された資料に沿って講義演習は進められました。丁寧に作られた資料は、後で見返しても実践が確認できるようになっていました。この資料は間違いなく保存版です!!

 

13:00から始まったセミナーは16:00に終了となりました。3時間では短く、脳卒中患者がよりよく生活するために看護ができるポジショニングの技は奥が深い、と感じました。

 

ポジショニングというテーマには、これまでの研究会アンケートで取り上げてほしいという声が多かったのですが、その意味が分かったように思いました。

 

【 脳netサロン 】

 

場所を移動して、“サロン”に!

 

セミナーの参加者を含めてポジショニングの話やら、摂食嚥下認定看護師とSTとの協働に関してなど、お茶とお菓子をいただきながら1時間半ほど情報交換ができました。
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登喜代表は、研究指導の依頼を受けていました。
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臨床研究がもっともっと良いものになりますように。
そして、脳卒中患者の生活が少しでも豊かになりますようにという看護師の願いを込めた臨床研究をこれからも応援していきます。

 

指導を受けた臨床家の方からも、「先日の研修はありがとうございました。
分かりやすく、今後のスタッフ指導に活かしていきたいです。登喜先生には、看護研究の指導もいただきました。悩んでいた部分が明確化し看護研究を進めていけそうです。ありがとうございました。」とメールを頂きました!

 

6月には臨床研究の支援のためのサロンを開催します。ホームページで確認してください。
私たちの研究会が、皆様の役に立つのであればうれしく思います。
これから春に向かいます。4月からは新たな1年が始まります。
皆さま、頑張っていきましょう!

2017年03月08日(水)

治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン

三寒四温で、昨日はとても暖かでしたが、今日は関西はとても寒い日で、春が待ち遠しい限りです。 皆様はいかがお過ごしでしょうか?

 

さて、先日厚生労働省より、
「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」が提示され、がんだけでなく、脳卒中に対しても留意事項がHPで公開されました。

患者さんの退院支援に際して、お役に立てるかもしれないと思い、ご紹介させていただきました

ご興味があれば、下記URLより、ご参照ください

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000115267.html

あと、今週末ですが、3月11日の実践セミナーはまだ受付中です。 お時間のある方は是非ともご参加ください

2017年01月11日(水)

3月:脳実践セミナー開催のお知らせ

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あけましておめでとうございます。
本年も当研究会の活動をよろしくお願いいたします
さて、11月に定例会が終了しましたが、かねてからアンケートでも希望の多かった「脳卒中患者のポジショニング」についての実践セミナーを 3月11日(土)に開催いたします
講師には当研究会の脳卒中リハビリテーション認定看護師の山添氏をお迎えし、ポジショニングについての実技を含めた講義をしていただく予定です。

セミナーに参加される場合は、是非動きやすい服装でご参加ください。

参加費は会員様1000円、非会員様2000円、学生さん1000円(サロン別)です。

定員は30名となっており、定員に達し次第締め切らせていただきます。
申し込みは、下記アドレス、もしくはHPの「お問い合わせ」より、お願いいたします。
アドレス: info@strokecare-net.jp

その場合、

氏名・御所属・連絡先電話番号をご記入ください。 まとめて人数でのお申し込みも可能です。

実践セミナーのあとには、恒例の茶話会のサロンも予定しておりますので、そちらの参加の可否もお知らせください。

では、たくさんのご参加お待ちしております

2016年12月15日(木)

第5回脳卒中ケア研究会:報告

こんにちは。「脳卒中ケア研究会」からのご報告です。
11月19日(土)に開催しました『第5回 脳卒中ケア研究会』の様子をお知らせします。
今年のシンポジウムテーマは、「高次脳機能障害を生きる人たちの支援を考える」でした。
このテーマは、本当に関心が高く、あっと言う間に事前申し込みが100名を超えたほどでした。研究会でもある程度は予測していましたが、これほどとは思っていなかったのです。当日は満員という状況でした。今回申し込みができなかった方は、本当に申し訳ございません。どうか、このブログで感触を味わっていただけることを願っています。そうそう!当日の資料も入手できるので、それも合わせて確認してください。
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今回のシンポジストは以下の3名にお願いしました。(司会は登喜代表と日坂先生でした)
ちょっと写真が小さくてごめんなさい。

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山田祐子氏:奈良県総合リハビリテーションセンター 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師

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河地睦美氏:奈良県高次脳機能障害支援センター  支援コーディネーター

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山居輝美氏:甲南女子大学 看護リハビリテーション学部看護学科 講師

※山田祐子氏は、「高次脳機能障害患者の看護実践報告」というテーマで講演していただきました。
病院紹介から始まり、「高次脳機能障害」の基本的な知識をおさらいしてくれ、そして本題へ。認定看護師としての立場から事例を通して具体的実践を紹介してくれました。「60歳の男性 右被殻出血。」患者は半側空間無視をはじめ、注意障害や身体失認などなど、複雑な症状を呈する患者の看護です。そして「そのひとの世界をどれだけ想像できるか」が大きな看護のカギとなる。「問題点」を見つけることと同じくらい大事なのは「可能性」を見出すことだと話し、山田氏が看護で心がけていること、「私はあなたの味方」という姿勢・笑顔で聴くこと・触れること・ユーモア(何とか笑顔にしたい)・家族の支援(あきらめないで伝える)、を伝えてくれました。

※河地睦美氏は、「高次脳機能障害患者の支援活動の実際」というテーマで講演していただきました。
高次脳機能障害者への支援事業の組織とその内容について関連制度や法律に至るまで、丁寧に説明してくれました。そして、高次脳機能障害患者の本当の苦しみは社会生活の中で起こってきますから、福祉の充実は本当に望まれることなのです。高次脳機能障害患者が社会生活をスムーズにスタートさせるためには障害者サービスの支給申請を入院中に済ませておくこと。障害者サービスの中には経済的支援としての傷病手当金の支給も含まれる。そのために医師の診断書で申請が可能となることを知っていてほしいと話した。そして、インフォーマルなサービスとしての「ピアサポート・家族会・心のケア・レクレーション活動」などの利用も重要で今後進めていきたいとくくった。
※山居輝美氏は、「高次脳機能障害患者の研究の動向と研究報告」というテーマで講演していただきました。
1981年、高次脳機構障害に関する論文が発表され、看護の論文は1985年でした。今日までの31年間の研究内容を概観して説明し、特に、2006年から2016年までの10年間についてはさらに詳細な説明を加えてくれました。患者を対象とした事例研究では、排泄や退院・社会復帰に向けた援助の個別性の大きさを、家族を対象とした調査研究では、患者の環境が変化する際の家族支援の必要性、看護師を対象とした調査研究では、患者へのかかわりにおける看護師の直観や判断に関する研究や、看護援助の負担感や困難さに関する研究などが多い傾向が説明されました。また、山居氏は博士課程で取り組んでいる高次脳機能障害患者を対象とした研究活動の一部を紹介してくれました。

後半は、いつものように参加者の皆様とのディスカッションです。
やはり、具体的な看護実践や支援などに関する質問が多かったですね。シンポジストは難しかった事例やうまくいった事例事例などを紹介しながら意見交換は盛り上がっていました。
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そして、アンケートでは、
「共感できました。」「研究の視点も学べてよかった。」「内容がすごく濃くて、明日からも役立てられる内容がもりだくさんで良かったです。」「看護を見直すきっかけになった。」「患者の事を少しでも理解して関わっていきたい。」「患者さんへの対応が聞け、勉強になった。」「悩みが解決した。意欲があがった。」「ディスカッションで得ることができた。」
「看護について、もっと学びたかった。」「もっとディスカッションできれば良かったです。」「看護研究をした経験がないのでピンとこなかった。」という意見が聞かれました。
本当に、アッという間の4時間でした。また来年も興味深い企画を考えます。 

配付資料:

山田氏

河地氏
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