2016年01月04日(月)

第4回 脳卒中ケア研究会の報告です。

今回のシンポジウムテーマは、「脳卒中看護に補完代替療法を取り入れる―急性期から在宅まで―」でした。
“補完代替療法”って何?と、思われた方もいたのではないでしょうか?
いわゆる、現代西洋医学とは異なる方法で治療的効果が期待できる療法の事を総称して「補完代替療法」と言っています。東洋医学の鍼灸もそうですし、マッサージ療法やアロマセラピーもそうですね。音楽療法もそうなんです。
という事で、ご参加の方も少し戸惑ったかもしれませんが、「補完代替療法」は実は看護実践のとても近いところに位置していることを理解していただいたと思います。

本会はいつものように、研究会代表(登喜和江:千里金蘭大学)からの開会の挨拶から始まりました。
今回の司会は、研究会代表と澁谷幸(神戸市看護大学)研究会メンバーで行いました。
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参加者は62名でした。

そして、今回のシンポジストは3人の先生方にお願いしました。
まず、お一人目のシンポジストは伊藤壽記先生(千里金蘭大学教授)です。
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テーマは、「新たな医療体系としての全人的統合医療-これからの日本の医療の在り方-」
  外科医の伊藤先生は、我が国の疾病構造の変化におけるCureからCareの変換、あるいは現代西洋医学の抱える問題を指摘し、患者の意識構造の変化からQuality of Lifeを重視した医療とは?という疑問の中で「補完代替医療/Complementary & Alternative Medicine :CAN」への期待、さらには、現代西洋医学に全人的医療を、補完代替療法に科学的根拠を求めつつ、それらを有機的に癒合させた『統合医療/全人的統合医療』という概念についてお話しをしていただきました。臨床での実践例としてうつ症状や慢性的痛みに対するアロマセラピー・鍼治療・ヨガなどの介入研究結果などが紹介されました。臨床研究はまだ続くようです。これからの成果に期待したいですね。

二人目のシンポジストは、藤原櫻先生(神戸常盤大学講師)です。

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テーマは、「看護と補完代替療法」
 藤原先生はナイチンゲールの言う「-何が看護であり、何が看護でないか-」という看護の本質に言及し、補完代替療法と看護の類似点を挙げることで、補完代替療法を看護技術として用いることの可能性についてお話いただきました。現在、がん患者の44.6%が何らかの補完代替療法を利用しているという実態、先生自身が世界を旅して体感した補完代替医療を実践する施設の紹介、国内では補完代替療法を看護実践のフィールドで取り入れている群馬大学付属病院の「リラクセーション外来」やひとの自然治癒力を高めるための「体に優しい食事・ヨガや散歩などの適度な運動・心身の深いリラックス」をコンセプトにワークショップを展開する穂高養生園が紹介されました。
 そして、28の看護介入方法をTherapy(補助的/代替的療法)として位置づけたバイブル的な書籍『Complementary Alternative Therapy in Nursing 3rd Edition -心と体の調和を生むケア-』が紹介されました。期せずして、シンポジストの伊藤壽記先生が最新版『7th Edition -ケアのなかの癒し』の翻訳を手がけ来秋刊行予定ということで、藤原先生は痛く感動されていました。藤原先生のお話は、補完代替療法という中に看護実践の広がりを感じさせるご講演でした。

三人目のシンポジストは、江川幸二先生(神戸市看護大学教授)です。

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テーマは、「急性期における代替補完療法とコンフォート」
江川先生は、看護実践の中でよく使われる『安楽』ではなく、あえて「力づける」「勇気づける」という意味を含む『コンフォート』の概念を使い、コンフォートケアの内容には補完代替療法が多く含まれ、その結果として治癒の促進やセルフケアの改善、身体的諸機能の改善が期待できるというお話しをされました。そして、先生のご専門である急性期の看護現場でのコンフォートケアの事例を紹介されました。脳卒中患者を対象としたヨガや鍼治療、マッサージ、電気刺激療法、脳卒中患者以外でも術後の悪心・嘔吐の予防に対する内関(手首のツボ)の刺激やアロマセラピー、人工呼吸器装着中の患者への音楽療法などなど。特に「音楽療法」については公立八鹿病院での実践をビデオで紹介されました。

シンポジストの先生方のご講演の後には、会場の参加者の皆さんと活発な意見交換が行われました。

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「補完代替療法を看護実践として取り入れていきたいですか?」という問いかけから始まった意見交換ですが、「積極的に取り入れたい」という反応は少なく、その理由には、看護実践としてエビデンスがあいまいなこと、看護師独自の判断では実践できない医療現場の状況があることなどがあるようでした。しかし、その反面、看護実践として看護師がやっていることの多くが補完代替療法の内容を含んでいることが再認識できたのは大きな成果だったのではないでしょうか。そして、看護技術としての「技」を習得してケアの質の保証をしていく努力が求められているでしょう。

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ということで、今回の研究会も看護の発展につながるシンポジストの先生方のご講演と参加者の方々との議論はとても有意義でした。

ここで、お知らせです!!

-脳Knowネットサロン-

今回の「補完代替療法」を看護技術に生かすための「実践セミナー」を開催します。
藤原櫻先生にご指導をお願いしました。もちろん、「看護を話そう」サロンも行います。
こちらにもどうぞご参加ください。

平成28年2月27日(土)13:00~ 千里金蘭大学看護実習室 参加募集人数50名

※後日、シンポジストの先生方が研究会で使われたスライド資料をホームページ上にUPします。

2015年10月15日(木)

定例会参加申し込み中です!

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今回のテーマは「脳卒中看護に補完代替療法を取り入れる~急性期から在宅まで~」です。
最近の研究論文では脳卒中患者が補完代替療法を取り入れている割合は50%とも67%ともいわれ、その多くがマッサージであるという報告もあります。補完代替療法は脳卒中患者の療養生活上のさまざまな身体的苦痛を緩和し、患者のQOLを向上させる方法であると言えるでしょう。これまでも看護師は手を使って患者に触れ、さすり、もみほぐす、という行為を自然と行い、痛みが和らぐ患者の姿を看てきたと思います。今回の研究会は、看護師が実践に取り入れることのできる補完代替療法の知識と技術をしっかりと学習できる貴重な機会ではないかと考えています。
どうぞ、皆様のご参加をお待ちしております[E:sign03]
お申し込みはお早めに!

2015年09月16日(水)

第4回 脳卒中研究会定例会のお知らせ

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      ↑クリックして画像を拡大できます!

今年で第4回になります 脳卒中ケア研究会定例会 を 12月19日(土) に昨年と同じ会場の 千里金蘭大学 にて開催致します[E:sign03]

今年のメインテーマは「補完代替療法」です。 アロマセラピーなどがよく知られていますが、他にも補完代替療法と呼ばれる者は多数存在します。  その療法がケアにどのように役立てることができるか、考えていきたいと思います。

皆様の積極的なご参加をお待ちしております[E:shine]

お申し込みは以下のURLよりお願い致します。

http://www.strokecare-net.jp/meeting.html

2015年06月30日(火)

平成27年度第1回 “脳ネットサロン”のご報告

こんにちは。
梅雨のない北海道以外は全国的に梅雨の時期となり、雨・雨・雨・・・・のようです。
国内さまざまな所で火山が活性化し、心配も絶えません。

 

さて、今年度最初の脳ネットサロンを過日6月27日(土)に開きました。
今年後のサロンでは、皆様の『臨床研究支援』ができればと思ってご案内をしております。
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  いつものようにテーブルにはお茶とお菓子を並べて・・・・日坂先生が徳島から『棒ういろ』を持ってきてくれました。これがまた本当においしかったですよ。
お菓子の話はそのぐらいで・・・・・。

 

今回は3名の方が来てくれました。ありがとうございました。
それぞれの方が研究にまつわる課題をお話ししていただくところからはじめました。
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「今、口腔ケアの研究に取り組んでいるが効果の検証をどのような視点で見るのが良いのか」、「外来で脳卒中相談をしているのだけれど研究的な取り組みは可能なのか」、「新たな取り組みをしているのでそのことをどのように整理できるか」、「ある事例の看護を研究的観点で整理することはできるか」などなど・・・・。改めて現場が研究の宝庫なんだと実感させられました。

 

そして、研究疑問や研究課題に応じて3つのグループに分かれて話を進めていくことに・・・・。もう、熱心な話し合いがあっちでもこっちでも・・・・。
時間はアッという間にすぎ、17:00になってしまったのです。

 

参加者の方はそれぞれご自分の抱えていたモヤモヤがすっきりとしたのだと思います。「こう考えて組み立てればいいのか・・・」「見方を変えるとまたできることが広がる」「脳神経の学会に間に合わせて発表できそう」などなど、最後はそんな声もきかれました。

 

一緒に議論に参加したスタッフメンバーは「勉強になりましたね」「おもしろかったですね」「成果を教えてくださいね」と率直な思いを伝え合っていました。
本当に面白かったです。
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参加者の感想から~[E:note]

 

「今回初めて参加させて頂き、研究の課題が明らかになりました。

口腔ケアの有効性を導き出すにあたり、明確なデータの出し方が分かりました。
認定看護師としての活動のあり方についても、課題が出来、日々の活動を有意義なものにしていきたいと思います。」

 

「事例研究に対するご指導を頂き、ありがとうございました。目からウロコ。まとめるにあたり、悩んでいたのですが、何を発信したいのか、何に気づいたのか等等、寄り添う看護について語る時間を過ごすことが出来ました。事例はほとんどナースサイドからの視点で考察しがちですが、患者の目線で本当に考察しているか、に気づくことが出来ました。」

 

「看護研究の悩み相談ということで初めて参加させて頂きました。
個別に相談に載って頂いてあやふやだったことが的確なアドバイスを頂きとてもよく分かりました。参加してよかったです。ありがとうございました。」  などなど・・・・

 

今後も、みなさんのご参加をお待ちしています[E:shine]
次回のサロンは1月です!少し間が空きますが、会員の皆様はそれまでにご相談があればメールでお知らせください。
12月の研究会にもお越しください。

2015年04月20日(月)

平成27年度 第1回 脳Knowネットサロンのお知らせ

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春といっても、雨が多い関西地方・・・。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
平成27年度の『脳Knowネットサロン』に関してお知らせをいたします。
今年度のテーマは【看護研究支援】としました。実は、皆様が日々活動している臨床には研究の種がいっぱい、というは良く耳にすることです。しかし、「気になることがあって研究的活動をしたいと思うがなかなかできない・・・」とか「調査はしてデータがあるけどどんな分析ができるのか・・・・結果をどのようにまとめていけば良いのか?・・・」「研修で研究計画書作成の課題が出たけどどうしよう・・・・」といったことを感じたことはありませんか?
そこで研究会では看護研究活動のプロセスに脳卒中ケア研究会がお手伝いできないだろうか、と考えました。
直近では、10月に日本脳神経看護研究学会が開催されます。“演題募集の受付期間は2015年5月25日(月)正午~2015年7月10日(金)23:59まで”、です。多くの皆様が研究成果を発表されることと思います。どうぞ脳Knowネットサロンをご活用ください。
なお、今年度の「脳卒中ケア研究会 脳Knowネットサロン」の開催日程は下記の予定です。
第1回:平成27年6月27日(土)15:00~17:00
第2回:平成28年1月30日(土)15:00~17:00
いずれも場所は、
場所:千里金蘭大学 3号館1階 です!
【参加申し込みについて】
1、脳卒中ケア研究会ホームページからメールでお申し込みください。
http://www.strokecare-net.jp/
2、参加費:会員無料・非会員\500
たくさんのご参加、お待ちしております[E:shine]
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