2016年02月02日(火)
皆様、お待たせいたしました[E:eye]
2016年01月27日(水)
2016年01月13日(水)
2016年01月04日(月)
今回のシンポジウムテーマは、「脳卒中看護に補完代替療法を取り入れる―急性期から在宅まで―」でした。
“補完代替療法”って何?と、思われた方もいたのではないでしょうか?
いわゆる、現代西洋医学とは異なる方法で治療的効果が期待できる療法の事を総称して「補完代替療法」と言っています。東洋医学の鍼灸もそうですし、マッサージ療法やアロマセラピーもそうですね。音楽療法もそうなんです。
という事で、ご参加の方も少し戸惑ったかもしれませんが、「補完代替療法」は実は看護実践のとても近いところに位置していることを理解していただいたと思います。
本会はいつものように、研究会代表(登喜和江:千里金蘭大学)からの開会の挨拶から始まりました。
今回の司会は、研究会代表と澁谷幸(神戸市看護大学)研究会メンバーで行いました。
参加者は62名でした。
そして、今回のシンポジストは3人の先生方にお願いしました。
まず、お一人目のシンポジストは伊藤壽記先生(千里金蘭大学教授)です。
テーマは、「新たな医療体系としての全人的統合医療-これからの日本の医療の在り方-」
外科医の伊藤先生は、我が国の疾病構造の変化におけるCureからCareの変換、あるいは現代西洋医学の抱える問題を指摘し、患者の意識構造の変化からQuality of Lifeを重視した医療とは?という疑問の中で「補完代替医療/Complementary & Alternative Medicine :CAN」への期待、さらには、現代西洋医学に全人的医療を、補完代替療法に科学的根拠を求めつつ、それらを有機的に癒合させた『統合医療/全人的統合医療』という概念についてお話しをしていただきました。臨床での実践例としてうつ症状や慢性的痛みに対するアロマセラピー・鍼治療・ヨガなどの介入研究結果などが紹介されました。臨床研究はまだ続くようです。これからの成果に期待したいですね。
二人目のシンポジストは、藤原櫻先生(神戸常盤大学講師)です。
テーマは、「看護と補完代替療法」
藤原先生はナイチンゲールの言う「-何が看護であり、何が看護でないか-」という看護の本質に言及し、補完代替療法と看護の類似点を挙げることで、補完代替療法を看護技術として用いることの可能性についてお話いただきました。現在、がん患者の44.6%が何らかの補完代替療法を利用しているという実態、先生自身が世界を旅して体感した補完代替医療を実践する施設の紹介、国内では補完代替療法を看護実践のフィールドで取り入れている群馬大学付属病院の「リラクセーション外来」やひとの自然治癒力を高めるための「体に優しい食事・ヨガや散歩などの適度な運動・心身の深いリラックス」をコンセプトにワークショップを展開する穂高養生園が紹介されました。
そして、28の看護介入方法をTherapy(補助的/代替的療法)として位置づけたバイブル的な書籍『Complementary Alternative Therapy in Nursing 3rd Edition -心と体の調和を生むケア-』が紹介されました。期せずして、シンポジストの伊藤壽記先生が最新版『7th Edition -ケアのなかの癒し』の翻訳を手がけ来秋刊行予定ということで、藤原先生は痛く感動されていました。藤原先生のお話は、補完代替療法という中に看護実践の広がりを感じさせるご講演でした。
三人目のシンポジストは、江川幸二先生(神戸市看護大学教授)です。
テーマは、「急性期における代替補完療法とコンフォート」
江川先生は、看護実践の中でよく使われる『安楽』ではなく、あえて「力づける」「勇気づける」という意味を含む『コンフォート』の概念を使い、コンフォートケアの内容には補完代替療法が多く含まれ、その結果として治癒の促進やセルフケアの改善、身体的諸機能の改善が期待できるというお話しをされました。そして、先生のご専門である急性期の看護現場でのコンフォートケアの事例を紹介されました。脳卒中患者を対象としたヨガや鍼治療、マッサージ、電気刺激療法、脳卒中患者以外でも術後の悪心・嘔吐の予防に対する内関(手首のツボ)の刺激やアロマセラピー、人工呼吸器装着中の患者への音楽療法などなど。特に「音楽療法」については公立八鹿病院での実践をビデオで紹介されました。
シンポジストの先生方のご講演の後には、会場の参加者の皆さんと活発な意見交換が行われました。
「補完代替療法を看護実践として取り入れていきたいですか?」という問いかけから始まった意見交換ですが、「積極的に取り入れたい」という反応は少なく、その理由には、看護実践としてエビデンスがあいまいなこと、看護師独自の判断では実践できない医療現場の状況があることなどがあるようでした。しかし、その反面、看護実践として看護師がやっていることの多くが補完代替療法の内容を含んでいることが再認識できたのは大きな成果だったのではないでしょうか。そして、看護技術としての「技」を習得してケアの質の保証をしていく努力が求められているでしょう。
ということで、今回の研究会も看護の発展につながるシンポジストの先生方のご講演と参加者の方々との議論はとても有意義でした。
ここで、お知らせです!!
-脳Knowネットサロン-
今回の「補完代替療法」を看護技術に生かすための「実践セミナー」を開催します。
藤原櫻先生にご指導をお願いしました。もちろん、「看護を話そう」サロンも行います。
こちらにもどうぞご参加ください。
平成28年2月27日(土)13:00~ 千里金蘭大学看護実習室 参加募集人数50名
※後日、シンポジストの先生方が研究会で使われたスライド資料をホームページ上にUPします。
2015年10月15日(木)