2024年12月25日(水)

【!!】脳卒中ケア研究会の今後について、改めて、皆様にご報告をさせていただきます。

脳卒中ケア研究会の活動は、今年度(2024年度)を持ちまして「閉会」となります。

研究会発足から12回(2020年は中止)のシンポジウムを開催してきました。これまでに様々なテーマを取り上げ、脳卒中患者の看護実践に少しかもしれませんが貢献できたのではないかと考えております。シンポジウムの他にも研究・勉強会・臨床研究支援などの活動も細々としてまいりました。今後は、これらの活動を『日本脳神経看護学会関西地方部会』の活動に移行させていくことになります。本研究会の趣旨にご賛同いただき、研究会等にご参加いただいた多くの皆様に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

なお、脳卒中ケア研究会のホームページ脳卒中ケア研究会 ~看護職と患者さんへの情報発信のサイト~は、しばらくの間(2026年6月まで)研究会メンバーの研究活動「科学研究助成 “脳卒中患者の後遺症の痛みしびれに関する研究”:研究代表 登喜和江(千里金蘭大学)」のプラットホームとして継続いたします。今後、ホームページでは研究活動に関する報告や情報提供、研究活動への協力のご案内などを随時更新していく予定です。引き続きアクセスしていただけると嬉しく思います。

(脳卒中ケア研究会事務局)

2024年12月25日(水)

【2024年度】研究会報告

今年度の脳卒中ケア研究会は、「日本脳神経看護学会関西地方部会研修会(部会長 梅田 麻由)」の共催という形で、千里金蘭大学で2024年11月30日(土)に開催しました。参加者は27名でした。

研修会のテーマは『見直そう!脳神経患者の早期離床に向けた臨床判断と実践~診療報酬改定を受けて』と題して、「診療報酬改定に伴う看護活動」「術後超急性期から早期離床につなげる臨床判断と看護の実際」、そして「早期離床に関する知識と技術」の3部構成で企画しました。

まず、「診療報酬改定に伴う看護活動」の講演には、多根総合病院の脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の應本勝美氏に登壇いただきました。應本氏は、令和6年診療報酬改定に伴う看護師が知っておきたいポイントをわかりやすく示してくれました。そのポイントの一つとしては、看護必要度の見直しにおいて、急性期一般入院料1でB項目が削除される点です。つまり、看護必要度の評価から日常生活行動に関連した看護実践が含まれなくなります。一方で、急性期のリハビリテーションや栄養管理・口腔管理の取り組みの推進が新たに評価の対象となります。まさに早期離床への取り組みが明確に見える化される活動が医療報酬につながること意味します。この見直しによって、急性期看護において看護本来の活動としての生活行動の援助は評価されないが、援助しないわけにはいかないという看護師のジレンマが生じかねない状況が危惧されます。そのような中で、今後の看護活動に求められるものを應本氏は「連携」と「柔軟性」がキーワードだと話されました。今回の診療報酬改定を機に変化する社会に対して看護活動には「柔軟な」対応力、そしてリハビリテーションや栄養管理において多職種との効果的な「連携」ができる力が求められると話されました。

 

 

 

 

 

 

 

次に、「術後超急性期から早期離床につなげる臨床判断と看護の実際」は、国立循環器病研究センターの脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の竹末のり子氏が急性期リハビリテーション看護の進め方について実践事例を交えて看護の実際を紹介していただきました。

竹末氏は、早期離床を行うための患者のアセスメントの視点を4つ挙げています。①病態と治療状況の確認、②治療により全身状態が安定しているか(バイタルサインや神経兆候の安定)、③脳循環や脳圧が安定しているか、④段階的な離床計画と実施中・実施後の評価、です。これらのアセスメントの視点を踏まえ、急性期の早期離床につなげる細やかな観察が重要であり、合併症など様々なリスクを予測し、そのリスクを最小にできるように脳機能とともに循環動態を整える全身状態の管理が重要である、として具体的な看護実践を解説していただきました。

<應本氏と竹末氏の講演の後は、講義室を出て実習室へ移動!>

最後の、「早期離床に関する知識と技術」は、矢木脳神経外科病院の理学療法士、中路一大氏とサポート理学療法士(船本氏と笠原氏)による講義と演習形式で進められました。内容は、「動作のための前提知識の確認」「臥床による弊害と予防」「離床時の介助のポイント」でした。中路氏が冒頭で「関節拘縮は急性期に始まり維持期に完成する」なので、急性期では日常動作を十分に行える身体性を確保することが大事であること。そのためには、短時間のリハビリだけでは絶対に防ぐことはできない。だから、看護師の参画が重要だと話されました。その後、急性期の臥床による呼吸機能や循環機能への影響、骨・関節・筋組織への影響などの基礎的な知識を確認し、実践に入りました。実践では、「起居動作」と「車いす移乗」の技術を確認しました。Bed up座位を経由しての起き上がりには、まずBed上方への移動が大事で、そのために登場した道具が「ビニール袋」です。これを臀部に敷き込むことで体幹の摩擦を軽減し、上半身を抱え込んで引き寄せると軽く上方移動が可能となります。実践している参加者から「わー、軽い!!」「スムーズ!」「力が要らない!」と驚きの声が聞かれました。

 

 

 

 

 

 

 

それからBed upさせます。この時に背部に手を入れて背部を浮かせるようにするのもポイントです。患者役になった参加者は、背中を支えられているので「あー、楽だわ!」と実感していました。次に車いす移乗では、車いすの位置がポイントです。斜め45度は✖。移動最短距離の0度付近がベスト!患者が立った後に方向転換をさせない移乗を実践しました。まさに「目からうろこ」の体験をした実践演習でした。

 

今回の研修会は、短時間で盛りだくさんのプログラムでしたが、「あいまいな理解がはっきりした」「実践が良かった」「普段している介助方法の改善点が分かった!」という声もあり、とても充実した研修会となりました。今後参加者がさらに増えることを願い、閉幕となりました。

来年の研修会へのご参加をお願い申し上げます。

 

2024年09月27日(金)

日本脳神経看護学会関西地方部会研修会を開催します!

 

 

 

 

令和6年度(2024年)日本脳神経看護学会 関西地方部会研修会を開催します。

<テーマ>

「見直そう!脳神経系患者の早期離床に向けた臨床判断と実践」

~診療報酬改定を受けて~

今年度は、(令和6年度)「診療報酬改定」が施行されました。患者のADLの維持、向上等を目的に、早期離床・早期退院がさらに推奨される内容となっています。その一方で、7対1病棟で看護必要度B項目(患者のADLに伴う看護ケアの評価)が除外されました。それでも、急性期医療における脳神経 看護の臨床は看護本来のケアを大事にし、かつ医療のニーズに対応して患者の回復システムを促進することが期待されます。

今年度の研修会(セミナー)では、脳神経患者の看護実践において早期離床・早期退院に向けて看護専門職としての適切な臨床判断と看護実践を見直すとともに、確かな実践能力を身に付けるプログラムを提供します。皆様のご参加をお待ちしております。

詳細は、https://www.jann-1973.jp/club/kansai/ をご覧ください。

※ 当日演習がございますので、上履きをご持参ください。

※ 会場には、公共の交通機関をご利用ください(駐車場の準備がございません)

 

 

2024年07月23日(火)

臨床の方必見!交流集会を開きます

 

脳卒中ケア研究会のメンバーで、日本看護研究学会にて、交流集会を開きます!
日時:8月24日(土)10:30~11:30 @奈良県コンベンションセンター
交流集会のタイトルを痛みやしびれに対する看護ケアとしてのマッサージの臨床適応への展望」と題し、皆さんと交流したいと思います!
交流集会において、臨床家のご意見をお聞かせください!
看護ケアとしてのマッサージの臨床適応の可能性について」の体験会も実施します。奮ってご参加ください!

2024年03月03日(日)

第11回脳卒中ケア研究会報告

2月17日(土)の脳卒中ケア研究会は、昨今の感染状況並びに医療現場の対応状況を鑑み、急遽「完全オンライン」に変更して開催しました。皆様にはご理解をいただきましたこと、感謝申し上げます。

 

さて、今年の研究会テーマは「「臨床研究を通して今こそ看護を考えよう ―私たちの看護が見える―」でした。

【教育講演】では東京大学医学系研究科の山本則子先生が「事例研究を通してケアの意味を考える」というテーマで、看護師の日々行っている「優れた実践を可視化」し、優れた対人援助実践の知を共有可能にするためには、「事例研究」という研究手法はもっとも効果的であるとのお話がありました。山本先生の提唱する「事例研究」は、これまでのような患者の症例報告ではなく、看護師の実践を主体として実践の意味を探求します。そのために、山本先生は新たな研究方法論を打ち立て、看護実践者との共同研究のあり方、研究結果の公表の具体例の説明と共に、学術性の担保に向けた取り組みなどを紹介頂きました。実践知を可視化する研究方法としてかなり興味が沸きました。看護実践の中に専門職性を表現できるという期待感でワクワクしている自分を感じていました。改めて、看護実践の可視化に向けて臨床と研究者が一体となって取り組んでいくことの重要性を認識しました。

山本則子氏(東京大学)

 

 

 

 

 

 

 

事例研究:

大竹泰子,野口麻衣子,野原良江,山本則子(2017):最期の療養場所に関する意向の相違を抱えた家族に対する訪問看護師による意思決定支援,日本家族看護学研究,第23巻,第 1 号.

 

総説:

山本 則子(2019):特集 「気づき、学び、元気になる事例検討会を開こう」なぜ看護師は「事例」から学ぶのか?—現場で行なう事例検討会の意義と可能性,訪問看護と介護,24巻,3号.

 

【パネルディスカッション】では、「臨床研究における臨床看護師と大学教員とのコラボレーション事例」について研究活動のプロセスを脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の山添幸氏(西宮協立脳神経外科病院)と杉浦圭子氏(九州大学)によって取り組みが紹介されました。研究活動の主体は山添氏であり、杉浦氏は山添氏の頭の中の様々な考えを整理するように「問い」を発し、それを受けて山添氏は思いのたけを「語る」。つまり、「問い語り」を繰り返して次第に研究の軸が明確になり研究計画書が作成されました。その後も、データをどのように分析するか、結果をどのように表現するか、LINEを使って話し合い、当初21枚あった発表用のスライドは14枚に整理されるなど、互いの思いを突き合わせ、山添氏が臨床の煩雑さに追われ心折れそうになっても、それを冷静に受け止め、常にポジティブに伴走していた杉浦氏との共同作業の様子が紹介場面から見えました。

参加者からは、臨床家と研究者との関係性が重要で、日ごろから臨床家と研究者との交流が共同研究に発展していく環境づくりが最も大切という意見や関係性ができれば、LINEやZOOMを効果的に使い、コラボレーションした研究活動がより発展することへの期待もできるのではないか、といった意見もあり、コロナ禍で獲得した新たなコミュニケーション手段に可能性の期待も広がりました。

臨床家と研究者が研究活動における強みを生かし補完的協働ができる環境やシステムを構築していく必要も議論され、本研究会の今後の活動にも大きなヒントを与えてくれる多くの意見が提案されたディスカッションで幕を閉じました。

 

杉浦 圭子 氏

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山添 幸 氏

 

 

 

 

 

 

 

 

1 2 3 4