2022年11月04日(金)

第10回脳卒中ケア研究会:実りある内容で終了しました!

第10回 脳卒中ケア研究会報告

10月29日(土)14:00から、3年ぶりに会場開催とオンライン開催のハイブリッド開催となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回のテーマは、

「脳卒中患者の将来を見据えた看護師の臨床判断と看護実践 —発症直後から回復期—」

2名の脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の方に看護実践を語っていただきました。

脳卒中患者の看護では、常に急性期から回復期へ継続した看護が求められていると思います。脳卒中患者は日常生活機能の障害を残しやすいために、先を見据えた看護実践の必要性を改めて認識できたように思います。

まず、超急性期の現場から、前 千登世氏の実践事例を紹介していただいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トヨタ記念病院 前 千登世氏(脳卒中リハビリテーション認定看護師)

急性期から、「背面開放座位」への移行を積極的に実施すると同時に、患者の五感を刺激する「手浴・足浴・口腔ケア」を徹底し、覚醒を促している。脳神経を刺激し続ける看護実践によって回復を促進してきた。その一方で、高次脳機能障害を見落とす落とし穴に注意し、見えない障害を可視化できる臨床判断が重要であると語った。そして最後の事例は、急性期で看取るということについて、「その先の死」に向かってどのような看護実践が求められているかついては、家族の関係性(家族文化)の把握と患者を大切にして丁寧にケアをすることを大事にしていると語った。

次に、回復期の現場から、安福偉子氏の実践事例を紹介していただいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森之宮病院 安福 偉子氏 (脳卒中リハビリテーション認定看護師)

回復期病棟では、脳卒中発症の2週間~4週間後で受け入れている。コロナ禍でも在宅復帰率は変わらなかったと話す。最も重要だと考えている看護実践は、「食事を支援すること」「排泄を支援すること」である。これが確立できれば在宅に戻れる。つまりその人の生活に近づくのである。まさに、先を見据えた看護実践である。安福氏は、「回復期の看護は命をつなげられた患者の人生を支える看護だ」と話す。それが看護実践の醍醐味とも表現した。事例のADLの評価をして、多職種の力も取り込みながら、患者を全体としてマネジメントするのは看護師の責任であり、看護師はその人がどのように暮らしたいのかを知り、「生活の予後を予測」するのだと語った。

 

 

 

 

 

 

 

司会:日坂ゆかり氏(岐阜大学大学院 医学部 看護学科)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

質疑応答の様子…

後半の質疑応答では、「スタッフを取り込む看護マネジメントはどのようにしていますか。」「看護が見える講演だった。看護の質は自分たちの手を離れてからつながっていることが分かった。」「看護実践の成果は必ずデータとして可視化することの重要性を確認できた。」「急性期の看取りでは、家族が患者の死とどのように向き合うか支援していきたい」などの感想や意見があり、有意義な議論ができました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

脳卒中ケア研究会 会長 登喜和江氏 (千里金蘭大学看護学部)

脳脳卒中ケア研究会では、今後も脳卒中/脳神経患者の看護に日々奮闘している実践家の皆様の支援活動を継続していきたいと考えております。臨床研究や事例検討など、研究会メンバーのスキルを総動員してできる範囲の支援をさせていただきます。「脳knowサロン」再開予定です。今後も「脳卒中ケア研究会」よろしくお願いいたします。